シリーズ第3弾は、初のUNITY!コンサートを余すところ無く収録したライヴ・アルバム。バーチャルからリアルへの第一歩を踏み出した、試験的かつ記念碑的コンサートの模様。
“パンくず”喜多京司の企画構成・音楽監督により、1999年7月25日にキリスト兄弟団・大和教会(奈良県)で行われた、初の「UNITY! コンサート」を完全収録したものです。アルバム『UNITY!』の複雑なサウンドを、生演奏でステージ上に再現出来るのか?という命題に真っ向から取り組んだ、意欲的な記録です。
パンくず氏の熱いラヴコールに応え、各地から大勢のゲストがステージに集合しました。当時の天気は快晴、大和教会は大入り満員。表向きは大和教会のゴスペル・コンサートでしたが、そのタイトルは“UNITY! West”という意味不明なもの(UNITY!西日本コンサートの意)。そして演奏された賛美は、ほぼ全曲がアルバム『UNITY!』から、又はその次回作に収録される予定だったナンバーで占められました。日曜の昼下がりに教会でゴスペルを聞こうと足を運んできた方々に、いきなり『UNITY!』の賛美を徹底的して聞かせたのです。ステージに登場した演奏者は、総勢約40名。観客の一人のコメント「幕の内弁当のようなコンサート。演奏の技術をどうこう言う前に、賛美の質の良さに驚いて、じっと最後まで聞き入ってしまった。」は、当日の会場の雰囲気を最もよく表しています。
この時、喜多一族バンドにエレキ・ギターで参加した津崎洋一氏(大和聖書教会)は、その後長きに渡ってパンくず氏と音楽的親交を深め、2003年に結成するThe Bibleの創立メンバーとなりました。
このライヴ・アルバム『UNITY! West』は、聖堂中央に設置した小型マイクでMD(Mini Disc)に収録したものを使用しています(UNITY!の名付け親であり、プロジェクトメンバーだった、故・“エルデ”佐藤 勝が録音)。実際の演奏には関係ない様々な雑音も収録されており、音質的には全く誉められるものではありません。昔流行った違法レコード=“ブートレグ(海賊盤)”のようです。しかしそれ故に、却ってこの日の聖堂内を満たした真剣な熱気を感じ取ることが出来ます。プログラムの全曲を『UNITY!』のナンバーで埋め尽くしたこのライヴ、パンくず氏の信仰と熱意、そして良き友に囲まれて実現した、主の恵みに溢れたコンサートであったことは、きっとお聞きになった皆さんも感じて頂けると思います。
このコンサートが布石になり、2001年8月に東京・秋葉原にて「UNITY! East Concert」が催されました。プロジェクトとして最大規模のコンサートで、日本聖公会の故・藤井慶一司祭が陣頭指揮をとってインターネット・ライヴ中継(動画での中継)まで行った画期的なものでしたが、こちらは映像も音声も共に失われてしまいました。故に、この『UNITY! West』はプロジェクトにとって貴重な活動記録であり、重要な資料です。